こんにちは!長谷川真緒と申します。
私は現在東京の大学に通っている1年生で、今回9月18日から24日の1週間、WEEK神山でインターンとして働かせていただきました。

毎日色々なバッググラウンドや考え方、働き方をしている方とお話しすることができ、神山のみなさんの温かさに包まれた1週間でした。
貴重で素敵な体験をありがとうございました。わたしは自分の興味が多方面に広がっていく中で、大学1年生の夏休み、一番自由に使える時間を自分の知らないところに行き沢山の初対面の人と話すことに使いたいと思っていました。 また、普段大学生活をしている中ではなかなか考える機会のない、「豊かさ」「幸せ」を探して、都会から離れた環境で、自分を見つめたいと考えていました。 ちょうどその時に、2個前のブログを書いている大学の友だち、高橋真衣さんと話して、彼女がWEEK神山でインターンをすることを知りました。話を聞いてすぐWEEKのサイトを見て、「これだ!」と思いその日のうちに申し込みをしてしまいました。
ということでインターンをするに至りました。先入観や、「これをやろう」という明確な目的は特に持たないようにしていましたが、同時に、自分の興味分野であるロボティクスが介入できる余地はないか、頭の隅で考えながら行動しました。
WEEKでの仕事について
毎日8時過ぎから14時ごろまで宿のお手伝いをし、その後はフリータイムをいただきました。夕食の提供時はヘルプに入る時もありました。 まず、8時ごろから朝ごはん配膳、片付けの補助をしました。その後10時から客室のベッドメイクと清掃を行います。実家暮らしで家事は基本的に親に任せてしまっている自分にとっては、ホテルの清掃業務はとても新鮮かつ大変で、親のありがたみを痛感しました。また、今まで利用者側としてしかホテルを見たことがなかったため、細かい箇所の清掃、備品の補充など、お客さんが快適に過ごす裏側では沢山の労働があるのだと気付かされ、貴重な経験ができました。
滞在1日目、2日目両方とも、 WEEK神山では外部の方を呼んだイベントが開かれ、どちらも興味深いお話を聞くことができました。
1日目は、神山高専をデザインした建築家夫婦の講演でした。「木」「休む」「時間」といったコンセプトの集合体として地域に根付いた建物をデザインしてきた思考回路について、そして、建築家として独立するまでのスペイン留学やゼネコンでの経験なども聞くことができました。人の動きをデザインする建築の奥深さと人生の面白い歩み方に触れることができました。

2日目は、各務原の街づくりに関わる行政の方々の講演でした。どのように暖かいコミュニティを作り運営を継続しているかを説明してくださりました。私自身、大学で異なるサークルの人が集まるコミュニティの運営をしていることもあり、特に心に残ったのは、自走する良いグループを作るためには「その集団のコアメンバーが”ナメられる”、”愛される”人であるべき」ということでした。それにより、一部に権力が集中することなく、コミット度に関わらず多くのメンバーが参加し挑戦しやすい雰囲気を醸成できるとのことで、今後の運営のヒントを得ることができました。

両方のイベントにおいて、講演後の懇親会で神山内外の多くの方とお話しすることができました。建築家、写真家、高専の先生、電気屋さん、すだち農家、行政職員の方などなど。美味しいご飯を囲み、異業種の人が交わりあって楽しくお喋りできる雰囲気がとても素敵でした。普段なかなか自分から聞きに行くことのない分野の講演と多くの人のお話を聞き、新しく触れることが沢山あり、自分の興味を広げることができました。
神山で訪れた場所
2日目に雨乞の滝、という有名な滝に向かいました。道路標示の「滝まで3km」という表示を見て、遠くないのだと安心して自転車を漕いでいましたが途中から雲行きが怪しくなってきます。
そう、とんでもない山道でした。

滝の入り口についた時には自転車を押しながら歩き、汗だくの状態でした。ここまで来たからには、滝を見ないと帰れない。そう思い、こんどは先が見通せない木に覆われた林道を登っていきます。途中には美しく、
水が綺麗で青色に染まっている小さな滝を複数見ることができました。体力が限界に近づき、そろそろゴールだと思っていた地点には「雨乞の滝まで450m」の文字。迫る日の入りと完全にミスで履いてきてしまったサンダル、これを考え泣く泣くギブアップすることになりました。

途中の景色はとても美しく、帰りに一気に自転車で坂を下るのは最高の気分でした。ただ、やっぱり雨乞の滝、見たかった。次来た時にリベンジします。
神山の自然の美しさと山の厳しさを体をもって知ることができました。
滝からの帰り道には素敵なお店を見つけました。お店の名前は「豆千代コーヒー」、素敵な店内でコーヒーフロート(2回目はクラフトコーラフロート)をいただきました。どちらもとても美味しかったです。

そこで働かれているのぞみさんは去年夫婦で世界一周旅行をしたそうで、お話を聞かせていただきました。28時間バス(!)、インド・ネパールの高山地帯など、普段の生活では考えられない世界について聞くことができました。自分の価値観を広げる一歩として、色んな国に行ってみるとよい、と背中を押していただきました。素敵なひとときを、ありがとうございました。
地域の方と
3日目の夜、前町長さんが企画している、酒蔵で皆で食材を持ち寄りご飯を食べる会に参加しました。

100年前に行われていた「棒搗き」という神社建立の前に30人ほどで同時に大きな木の棒を持ち上げ、地面に打ち付けるという伝統行事についても教えていただきました。高専の文化祭で復活させたい、とのことで高専の生徒さんと一緒に100年も前の田園風景や人の賑わい、伝統を知ることができました。猟師の方が獲って解体してくださった新鮮なジビエを、たっぷりのすだちとともに頂きました。舌がまさにとろける美味しさでした。また、フランスから販年前に移住してきたエンジニアの方にパソコンの性能、自分で立てたサーバーの説明を力説していただきました。まさか徳島の山奥でこんなにマニアックな話をするとは思わず、フランス各地の話も聞くことができ楽しかったです。収入ではなく家族や周りの友人との時間を大事にし、自由に生きるという人生の指針に感銘を受けました。
後日談ですが、なんと、前町長さんが6日目にわざわざWEEK神山まで、お土産にとすだちを届けてくれました。優しさに心が温かくなりました。普段社会人の人となかなか話す機会がないため、多くの人の生き方に触れられた貴重な経験でした。

4日目。この日は9月のなかで間違いなく一番笑った日でした。神山で多くの人を受け入れている岩丸さんという方のお宅にお邪魔し、まちの方々と夜ご飯を食べました。

もともと神山に住んでいる方、移住者、隣町の方などいろいろな人と餃子を一緒に作り、すだちをたっぷりかけ、8人で卓をわいわい囲んでいました。神山出会った人たちは、とにかくあらゆるものにすだちをかけます。魚、肉、餃子、ピザなど。今回驚いたのはマスカットにすだちをかけていたことです。意外にも酸味と甘味が混ざりあって美味しかったです。また、すだちを餃子に入れてみるというチャレンジをしたのですが生よりずっと甘くて良かったです。

そんなこんなで気づいた時にはなんと時計は23時。皆さんの普段の生活のお話や、他愛もない話で盛り上がり、お腹が痛くなるほど笑いました。その日は快晴で、星空が綺麗でした。神山は東京と比にならないほど星が綺麗に見え、しかも空が広いので晴れた夜には素敵な景色を味わうことができます。帰りがけには皆で空を見上げ、流れ星を探しました。わたしは3個見ることができました!
あゆハウス
6日目に「地域みらい留学」という制度で全国各地から神山に集まってきた、高校生たちが暮らす寮、あゆハウスにお邪魔さていただきました。夕ご飯を一緒に頂いたのですが、その日のメニューは魚の南蛮漬け、もやしとキャベツのサラダ、具だくさん味噌汁、ご飯と栄養満点で、高校生が作ったとは思えないほど美味しかったです。
あゆハウスに住む高校生たちの、ご飯づくりや寮の運営を自分たちで担い、毎日の会議で学年関係なく意見を言い合い意思決定をする徹底的な自主性に驚きました。ほかにも、自分たちで魚を獲ったり、香川まで自転車旅行を企画したり、地域の祭りに出店したりなど、自分たちで考え行動を起こしていて、責任を持ちながらも神山での毎日を全力で楽しんでいる姿がとても印象的でした。


じょうさん、しずさんのお家見学
7日目に藍染をしているアーティストであるじょうさん、しずさん夫婦のお家の見学をさせていただきました。自給自足、自然の循環がほぼ不可能になってしまった今、生きていくのにお金を稼がなければいけない世界に対する疑問から、山の中で動物と自然と暮らし藍染をしていらっしゃるお二人です。また、戦後の杉の植林によって、伝統的な棚田が失われ森、川、土の循環が崩れているということを森を歩きながら教えていただきました。

その後、お家と藍染の行程を実際に見せていただきました。藍は
①藍の葉を摘む
②ひと夏をかけて乾燥させる
③冬に木桶の中で発酵させる
④木を燃やした灰から灰汁をつくる
⑤発酵させた藍と灰汁を甕で混ぜ合わせる
という工程で作られています。

さらに、藍と灰汁の配合、温度やpHなどの条件が揃うことではじめて藍色を取り出すことができるそうです。労力と時間をかけて抽出される過程の途方もなさに驚くとともに、さいごに現れる青の美しさを発見することができました。藍は抗菌能力や除虫に優れ古くは甲冑の下の衣服や傷の手当てなどに用いられてきたようで、ただの染料ではなく実用性も兼ね備えていることを初めて知りました。
じょうさんはアーティストとしても活動しており、家のデザインもいたるところに漢字のモチーフが散りばめられています。また人と人との繋がりを象徴する、ダイアモンドを空き瓶であらわしたアートが家の窓部分になっており、こめられた思いも含めて、とても素敵でした。

いつも何となく都会で過ごして消費を繰り返している中で見逃して
いた自然の豊かさと人間の行動の影響の大きさを身をもって知るこ
とができ、「幸せ」「豊かさ」
を違う観点から見つめることができました。幸せなひとときを、
ありがとうございました。1週間をこのWEEK神山で過ごすことができて、
本当に幸せでした。 来る前には予想もしていなかった素敵な出会いの連続で、
心に残る思い出が沢山できました。神山が、全国、
いや世界から人を惹きつける魅力がある場所であること、
それを支える温かいコミュニティを少しだけですが知ることができ
ました。改めて、
温かく受け入れてくださったWEEKの方々をはじめとする神山の
皆さま、ありがとうございました。まだまだ知らない魅力がいっぱいの神山、また戻ってきます。