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宿のオープンデータ【2025年4月~6月】

2025/09/30

いつもWEEK神山ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

今回のデータは4月~6月の3ヶ月間を集計し、記事を書いています。
1月~3月の比較なども行い、わずかですが、数値の変化も見受けられます。

非常に長い文章となっておりますが、お時間あるときに是非ご覧ください。

【過去のデータ】
宿のオープンデータで見る2024年
宿のオープンデータ12月分とこの1年の総括 (2023年)

【2025年のデータ】
宿のオープンデータ【2025年1月~3月】

過去の情報についても是非ご覧ください。

 

集計項目は下記の通りです。。

①泊数(1泊/2泊/3泊以上/5泊以上)
②滞在目的(観光/仕事/視察・イベント)
③年齢(60代以上/50代/40代/30代/20代/中高生/小学生/未就学児)
④1グループの人数と構成
⑤エリア(北海道・東北地方/関東地方/中部地方/関西地方/四国地方/九州・沖縄地方/海外)
⑥リピート率と繋がり
⑦宿から出たゴミの数
⑧予約経路
⑨予約時期(リードタイム)
⑩稼働率

➀ 泊数

(井上)泊数について、これまでの傾向と同様に1泊の割合が高い結果となりました。

連泊率について、2025年1月-3月の平均が33%であったことに比べ、4-6月の平均は23%と低い値を示しました。昨年2024年4-6月の平均も17%であったことから、4-6月は長期滞在というより単発旅行を目的とした宿泊者の割合が高くなるのではないかと考えられます。その要因として、以降の考察でも述べますが、歩きやすい時期のお遍路やゴールデンウィークにみられる若年層の増加が挙げられるのではないかと思います。

また、2024年17%→2025年23% と連泊率が増加したのは、前回の1-3月の考察と同様に、休館日の撤廃に伴う長期滞在可能な営業形態の影響もあると考えられます。

(赤石)1月-3月と比較しますと、連泊率としては下がっていますが、全体の予約件数は1.2倍ほどに増加しているため、連泊数自体は大きく変化していない状況です。内訳には少し変化が見え、4月初旬の春休みや桜需要、ゴールデンウィークと特需が多い期間でしたので、普段のビジネス層に加え、小学校低学年ぐらいのお子様を持つヤングファミリー層、いわゆる観光層の連泊が増えていました。まだ、月曜日と火曜日の休館日イメージが取れていないこともありますが、少しずつイメージ転換もできています。休館日を無くしたことにより、日曜日から月曜日、火曜日の連泊が15件発生。さらに内訳として外国籍のゲストの利用が多く、この曜日に偏る動きや曜日と需要の関係性が気になりました。継続して動向を追っていきたいところです。

 

② 滞在目的

(井上)滞在目的について、昨年2024年と比較したときに、観光目的の割合が13.2%→53.9%と大きく増加していました。観光目的宿泊者の内訳として、お遍路や若年層が多かったように感じます。

(井上)観光目的の中のお遍路の割合は、2025年4月:33%、5月:13%、6月:0%となっていました。お遍路の人数と気温の上昇には逆の相関があるものと考えられます。また、個人的には焼山寺を通るルート内に位置する当館は、この時期に限りお遍路宿の役割も果たしていることに気づくことができました。

若年層については、ゴールデンウィークや休日に多くなる傾向がありました。すべて網羅したわけではないですが、チェックイン時に①どうやって当館を知っていただいたのか、②観光先はどこなのか?を尋ねたところ、①についてはInstagramやTik Tokの短い動画(リール)、②については、剣山や祖谷のかずら橋、鳴門の渦潮、高知県のひろめ市場などの回答をいただきました。

①から、当館のSNS発信も画像の投稿だけでなく、動画の投稿の重要性に気づきました。②から、四国に来られる方々は海・川・山の自然を求めて訪れる傾向があるように感じました。町外の観光地を目的とした旅行計画が定番化しているものと考えられ、町内での滞在時間や増やすには鮎喰川や雨乞いの滝などの自然を生かした神山町の観光スポットを告知していくことが求められていそうです。それに伴い、写真映りのよい景観の整備も必要不可欠であると思います。

(赤石)次の年齢項目でも記載の通り、若年層の観光層増加を促す動きをだしているところもありますので、観光比率が大きく増加しているところは前向き要素と捉えています。ただ、視察からの観光や、仕事ではないけど個人的に視察など、目的が入り混じっているところが神山町の特徴で、観光、視察、仕事という3つの項目で決めつけをしてしまっているので、さらに深堀が必要と感じています。より観光層に特化して見てみると、SNSを中心に自分たちでコントロールしていないところで情報が先走り、そのまま予約に繋がっていることがふえています。この部分を整えて、よりゲストにとって実用性のある情報提供や発信に取り組んでいきます。色々入り組んだ少しカジュアルなソーシャルハブのような絵が、最近個人的にイメージとして出てきました。

③ 年齢

 

(井上)昨年2024年からも年齢割合は変化していないので、これが本時期の定番の型なのだと思います。

30-40代と中高生の割合が増加していたのは、城西高校神山校や神山高専の入学、見学に伴う親子の層によるものではないかと考えました。各学校の知名度の増加に伴い、今後も学校関連の宿泊者は増えていくのではないかと予想できます。学校での滞在時間だけでなく、宿泊も含めた神山滞在時間で、将来の学生生活のことや神山町での暮らしのことを感じてもらうため、よいコミュニケーションが取れるように心がけたいと思います。

人数はこの図からは把握できないのですが、狙う年齢層の見極めや取り組みを決める際の参考になればと思います。

(赤石)昨年と比較しますと、どの年齢層も大きな変化が見られず、1年経ってもゲスト層が変わっていないということで、新規層が獲れていなかったり、町への新たな動線があまりできていないのかなとも捉えることができます。ただ、エリア毎に年齢層の偏りが見えるのが一般的ですが、ここまで満遍なく、分かれているのも業界的には珍しいことでもあるので、そこには伸びしろを感じます。

私が昨年10月からWEEKに入り、個人的に20代前半をペルソナ設定し、そこに合わせたアプローチを試していたのですが、数値上への変化は生み出せていません。メディアを通してや、この夏に沢山来ていただいてるインターンなど様々なフックで、ここの年齢の関係人口を増やす手段をより深堀していきたいと考えています。

 

④ 人数と構成

(井上)4-5月の1人利用の割合に比べ、6月は減少していたのは、上述したお遍路の減少が影響しているものと考えられます。5人以上の割合が少ないため、グループルーム(最大6人)の稼働率をどのように上げていくのか考えていきたいです。

(赤石)他の項目とも関連して考えられることもあるのですが、泊まっていただいた実数から読み解くばかりではなく、町全体の受け皿としての状況も併せて考えるにしています。町内の宿泊施設について、神山温泉はツインタイプと和室で構成された計20室、コットンフィールドキャンプ場、その他一棟貸しがいくつかありますが、最大5名前後と複数名需要に合わせており、意外にもスタンダードなシングルルームというのが町全体で見受けられない状況です。今ある町内の選択肢から予約していただいてるので、ニーズとミスマッチ、もしくは選択肢がないという方で予約に結びついてないケースもあるのかなと予想しています。エリア内において、部屋タイプのバリエーションも最低限必要だと考えています。

 

⑤ エリア

(井上)昨年2024年と比較し、今年は国外および西日本(四国を除く)からの宿泊者の割合が高くなっていました。国外については、日本に訪れる海外の方が増加しているため、徳島に限った話ではないのかなと思います。ただ、お遍路目的での海外からの宿泊者は多かったので、お遍路の普及に伴い、これからも増えていくのではないかと予想しています。

関西や中国地方からの宿泊者が増加したのは、単純に移動しやすい距離感であることが理由として考えられます。しかし、四国内での利用者は少なくなっており、地元の人から興味を持たれる仕組みを考える必要がありそうです。そうすることで、⑨予約時期で述べる直前の予約数を増やすことができるのではないでしょうか。

(赤石)まずインバウンドに目を向けますが、少しさかのぼり2023年から2024年に徳島県の宿泊施設に泊まった人は前年比35.1%増の18万490人で、過去最多となっていた。2024年から2025年の数値はまだ出ていませんが、昨今の時代背景を見れば、さらにインバウンドの増加は予想できます。しかし、上記グラフを見ると、神山町へのインバウンドの流れはまだまだ少なく、お遍路以外の需要が考えられないのが課題ととらえています。。クラフトやアートをフックにインバウンドの旅行や移住促進が求められているのかなとも考えています。国内につきましては、大きな数値変化がない結果となりました。内訳も同様に大きな変化はなく、関東はビジネス層、関西はビジネス層と観光層の約半々、中四国は観光層と分かれています。年齢同様に昨年から変化がないということはネガティブに捉えており、流れやルートに変化をつけれていない事だと分析しています。地元含む近隣県からの日帰り来訪者は見受けられるので、そこを宿泊につなげる夜や早朝のコンテンツの必要性を感じます。

 

⑥ リピートと繋がり

 

(井上)2025年4-6月のリピート率は9%、繋がりは26%でした。宿泊者の約30%は知り合いや送客などの地域の皆様や関係者のご協力を受けていることが分かりました。リピートされている方に、今後どのような理由で当館を選択していただいているのかを聞き、強みや逆に足りない部分を知っていきたいです。

(赤石)リピート率の数値は減少傾向にありますが、その反面、新規層の増加という表れでもあります。前回の記事2025年1月から3月のまとめ内の新規層へのアプローチの記述の通り、認知の拡大と新たな層の発掘を継続して実施しておりますが、仮にそれぞれの人がWEEKの情報を受け取ったとしても、旅程に組み込む動き等は早くても3か月後、さらに半年後、もしくは次シーズンというのが、観光サイクル内では多くなります。まずは、情報が届く→興味を引き付ける→来館というサイクルを年間で多く作り、固めていくことを意識しています。また、WEEKへのリピート率以外に、神山町へのリピートという情報も少し追いかけて把握していきたいと思っています。

 

⑦ ゴミの数

   2025年  可燃ゴミ  リサプラ    缶   ビン ペットボトル
  4月     9 (6)*     4 (5)*     4 (2)*     10 (6)*     7 (2)*
  5月     7 (7)*       11 (7)*           3 (2)*           4 (4)*     2 (3)*
  6月     8 (7)*     9 (5)*     1 (1)*     4 (4)*     2 (2)*

*:(2024年の値)

(井上)営業日が増えたこと、夕食提供が増えたことでゴミの数は増加している傾向が見られました。

当館では、石鹸系は詰め替えを利用していたり、生ゴミはコンポストに入れたりと極力排出するゴミの量は押さえていますが、やはり一定量のゴミは出てしまいます。最善を尽くし、環境に配慮した運営を行っていきたいと思います。

 

⑧ 予約経路

(井上)概ねフォーム・電話での予約でした。ただ、送客・紹介や個別連絡など横の繋がりがあってこその予約が20%弱もあり、地域の皆様に助けられながら仕事ができていることに気づきました。

(赤石)基本的には大半がHPからのフォーム予約、またグラフ内にはありませんが、インスタグラムやフェイスブックのSNSに問い合わせが微増となりました。OTAサイトを利用していない宿泊施設として、HPにいきつくまでの導線やきっかけのデータが重要なため、会話ベースではあるもの情報を集めています。新たな動きとしまして、問い合わせ段階で高知から、団体成約で北九州からの旅行会社とやり取り(手数料無)が発生しました。経緯としましては、お遍路さんからの問い合わせで神山町へたどり着き、そこから神山町内の宿泊施設、WEEKという流れでした。既に国内外のお遍路対応として旅行会社とのやり取りはあり、この部分の増加が現実的ですが、その他の需要においても、旅行会社側も独自性を求めているということから、連携拡大を狙っています。

⑨ 予約時期

(井上)昨年と同様に、1-2ヵ月前が予約のピークとなって、当日に向かうにつれ、徐々に低くなっていく結果となりました。昨年と異なる点は、15-31日前の割合が20-30%と高くなっていたことです。かっちり先のことまで決まっている仕事・視察目的よりも、ゆっくりと予定を立てることも多い観光目的の宿泊者の割合が高かったことが要因の1つとして考えられます。

(赤石)ホテルの傾向としまして、予約日から宿泊日までのリードタイムが長ければ長いほど、さらにその数も多ければ多いのが良く、そこから滑らかな落ち方のグラフとなるのが大半ですが、WEEKの場合は少し異なり、1カ月前から2カ月前の間の予約が全体のほぼ大半を占め、直近がほとんどとれないという状況でグラフ曲線が極端な落ち方をしています。比率バランスが大きく崩れていることを課題感と捉え、直近で予約いただく方の傾向や理由を探っている段階です。観光目的の方も旅程を早く決めて動くということが、数値から読み取れますが、直近で選ばれにくかったり、候補に上がりにくいということでもあるので、その部分の四国や徳島の観光課題が何なのか気になるポイントです。

 

⑩ 稼働率

 

(井上)曜日別の稼働率について、昨年2024年に比べ、休館日の廃止に伴い月曜日と火曜日の稼働率は増加したことが分かります。

また、各月での曜日別稼働率にばらつきがみられなくなってきています。これは、稼働率が安定してきたという「正の見方」と、季節的な変化が少ないという「負の見方」のどちらともとらえられるので、各月の色を出すためのイベントの実施等の積極的な取り組みが求められているような気がしました。

もう一つ、注目すべきは、金曜日と日曜日の稼働率は低下していることです。この理由は考えていく必要があります。個人では考察できませんでした。

(赤石)上記にも書いてる通り、今回より月曜日と火曜日の休館日をなくしたことにより、実績が生まれています。不随して、連泊が出来るようになったこともあり、水曜日の稼働が約20%ほど上昇。また火曜日から木曜日の数値とゲスト層を照らし合わせると、出張の方が多く、週半ばで動くビジネス層が神山町にもある程度実在するということが分かります。反対に気になる点としましては、金曜日と日曜日の数値が減少していることです。どちらの曜日も低いという宿泊施設は意外と少なく、金曜日が良ければ日曜が悪かったり、反対に金曜日が悪ければ日曜日は良いというところが多いので、こちらも少ない事例の動きとなっています。曜日ごとの稼働を横軸で見たときに、湯河原や有馬など都会から少し離れた観光地の動きの傾向に近く感じます。データや動きが類似するエリアの施策や動き、特徴をヒントにするということも考えていきたいと思っています。

 

(井上)部屋タイプ別の稼働率について、ワークルーム・ダブルルーム・ツインルームは各月50%-80%と高く、良い評価ができるのではないかと思います。

一方で、ラージルーム(最大3名)とグループルーム(最大6名)の稼働率は50%を下回っており、当館の大きな課題にも見えます。団体で視察に来られる方々も個人部屋を希望されることが多いため、視察に頼らない団体を呼び込むなどの対応が必要かもしれません。ここで、重要になってくるのは「まちづくり・地方創生」というワードで神山に訪れる人ではなく、それ以外の家族やカップル、大学生の層を狙うことなのではないでしょうか。

(赤石)どの部屋タイプも昨年とほとんど変わっておらず、ラージとグループの稼働の低さは目立っています。1月から3月の時期は複数名で動くことが少ないことに納得できるのですが、4月や5月は観光層が増加するので、もう少し増加することを予想していましたが、結果はさらに下がるという形になりました。多くのホテルで最大収容がトリプル仕様ということが表すとおり、複数になった際、統計的に何故か3名の動きが多く、4名や5名の組み合わせになってくると極端に減少します。地域柄、徳島や四国内の動きはレンタカーが主流となり、車の大きさからみても3名で動くになっていくのは必然的な流れなのでしょうか。仮説としまして、仮にグループ部屋を相部屋仕様にした場合、神山らしい人の融合が生まれたりするのか、もしくはすべてシングル仕様にしたほうが良いのかなど、継続して需要の掘り起こしを行い、バリューアップを狙っています。

 

まとめ

2回目のオープンデータ考察となりましたが、相変わらず神山町は業界内での例外の動きが多く見えるという印象です。前回のまとめでも書きましたが、2年分ぐらいの蓄積データを見て、特徴を掴む感覚ですので、まだまだWEEKの事については、知っていく段階です。

今回の数値を見まして、1月から3月のデータと比較したときに、変わらない数値も結構あり、季節毎の需要から来る特徴的な動きの波が、神山町は少ないのかもしれないと思いました。こういう状況での運営は業界においてもヒントになることがあるので、しっかりと向き合っていきたいと思います。

また別観点になりますが、神山町やWEEKに興味を持っている方に対してのデータやブログ提供というところも考えています。観光WEBメディアのような発信ができるように内容をつきつめていきます。

かなり長い文章でしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。このデータが誰かの為になれば嬉しいです!

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