『風景をつくるごはんツアー』のこと
2025/04/01
みなさん、こんにちは。
今回は2月15日に開催した『風景をつくるごはんツアー』についてのレポートです。
このツアーは、神山でよくフィールドワークをされている徳島大学の森田先生から、最近、真田先生の『風景をつくるごはん』の輪読会を学生たちとしていて、その内容にちなんだ体験型のワークができないかの相談を受けて企画したものです。(とても良い本なのでぜひ読んでみてください!)
ざっくり要約すると、自分たちが食べているものと風景とのつながりの変化と背景を描いた本で、ツアーでは目の前の風景と今食べているものの繋がりを感じてもらうことを体感してもらいました。
ツアー当日。はじめは宿に集合してもらい、軽く自己紹介をしてもらいました。たまたまこの期間にシェフ・イン・レジデンスで滞在していたフェデリコがいたので、みんなで食べる料理は神山の小麦を使った手打ちパスタを一緒につくることにしました。パスタを寝かせる時間が必要だったので、農場へ行く前に少し仕込みをします。
そして農場へ移動。この日は鬼籠野で農業をしているOrononoの松本さんに協力していただきました。まずは松本さんにこの時期に採れる野菜のことや農業をはじめたきっかけ、神山に来た理由などを伺います。
その後、畑へ移動。今回は6種の野菜を収穫させてもらいました。
最初は人参の収穫。うまく抜くコツを教えてもらい、どんどんと抜いていきます。
次はキャベツ。お店で売っているキャベツとは違い周りに沢山葉っぱがあります。
周りの葉を落とし収穫。
ブロッコリーも収穫しました。切り口を見るのも楽しいです。
白菜は小ぶりのものを収穫。
赤大根。みずみずしくて甘かったです。
写真に撮ってないですが、ほうれん草がびっくりするくらい甘かったです。
戻ってきてからは、朝仕込んだパスタを麺状に伸ばしていきます。
イタリア・トスカーナの郷土料理、ピチというパスタで、子どもと一緒に作れる家庭料理です。小麦は近くの農業高校が神山で育てている神山小麦を使用。
うどんのようなもで、鍋でゆで上げます。
収穫した野菜はパスタの具、サラダに使いました。
野菜たっぷりのパスタとサラダの完成です。みんな野菜の鮮度とおいしさにびっくりしていました。
ご飯を食べながら、近くの畑で採れた食材を使い、料理して食べることが鮮度、味、コストをみてもとても良いということが分かります。でも実社会はインフラの発展とともに世界中から食材が集まり、買い物というプロセスを経て、食卓にご飯が並びます。(とても簡潔に述べています)
そのおかげで世界中の料理が食べれたり作れたりもします。それが良いか悪いかは後の世界が判断することですが、今現在、自分たちを取り巻く自然(山、川、海、畑、田んぼあど)が変化してきていることは明らかです。インフラの発展していなかった時代は、その地域で生きていくためにはその地域の資源を生かし循環させる先人の知恵やその土地独自の文化があったように思います。(先人に話を聞いたり写真で見たり本を読んだりして)
そこから生まれる風景はその土地の暮らしにつながっていて、とても魅力的に映ります。
食後はそんな話をしながら、宿の周りを散策しました。川のこと、石積のこと、岩盤のこと、目の前の見えている風景の解像度を上げることで、自分たちの暮らしを見つめなおし、今当たり前だと思ってることの背景を知ることが大切だということ。そこから少しでも目の前に見えているもの、起きていることを自分の暮らしや社会と繋いていくことができると、実感をもって生きていけるとも思います。
試験的な今回のツアーでしたが、実際に自分たちが食べるものが、どんな土地でどんな人が作り、どう収穫してどう運び、調理して食べるのかの体感と、風景と暮らしをつなげる話をすることはとても説得力があるなーと思いました。学生さんたちの反応もよかったです。(美味しいということは大事)
森田先生、学生のみなさん、ありがとうございました。