WEEK神山|新しい「いつも」に出逢う

【シェフ・イン・レジデンス】フェデリコの滞在記

2025/04/06

みなさんこんにちは。
今回は2月8日から3月25日まで宿のシェフ・イン・レジデンスで滞在してくれたフェデリコの滞在記です。

フェデリコはイタリアンの料理人で、彼と知り合ったのは昨年の9月、石積み学校の真田先生主催の石積みフィールドワーク@イタリアの時でした。

このプログラムは、イタリア北部のドモドッソラというスイスとの国境付近にある町で、真田先生や金子くん、学生たちと一緒に10日間滞在し、石積みワークを中心に周辺に暮らす人たちを訪ねたり、散策したりするものです。

メインの石積み研修では、約20m×2mのイタリア式石積み擁壁をつくりました。(なかなかの作業量。。。)
その他、周辺の集落へも案内してもらいました。石積みの家や道、周辺の風景がすばらしく、また、そこの暮らしの美しさにも大きな影響を受けました。

アルプスに上がる途中の滝から見下ろす景色

ヤギや羊、牛や豚などと一緒に暮らす風景もとても印象的でした。

僕たちの滞在中、フェデはシェフとしてランチとディナーを作ってくれました。日々20人分くらいの料理を作ってくれて、そこで一緒に料理していくうちに仲良くなりました。

フェデは献立は郷土料理を中心に考えられていて、野菜や豆を多く用いていました。日々の食事として胃に優しかったと思います。(ワインは毎日たくさん飲んでいましたが)

トマト、クスクス、多様なスパイスなど、イタリア料理といってもモロッコやトルコ、エジプトなどの中東料理の影響も受けていて、その背景を知れたのもよかったです。

薪窯で焼くピザは美味しすぎました。生地をのばすのが意外に難しかったです。オーガニックスーパーも野菜が豊富でよかったです。日本にはない野菜やハーブを食べるのが楽しかったです。
1日だけ日本食ディナーを作る機会もありました。これは豚汁。(自分たちのインスタント味噌を集めてつくりました)

プレートは炊き込みごはん、玉子焼き大根おろし、わかめナムル、豚の生姜焼き。日本の調味料が醤油くらいしかなくて難しかったですが、何とかそれなりの味にまとまりホッとしたのを覚えています。(アイデアをくれた方々、ありがとうございました)

そして、フェデとの別れ際に、宿の閑散期である冬に日本に来ないかという話をして連絡先を交換し、この機会につながりました。

今回の滞在では、ポップアップレストランをするということをメインに、スケジュールを組み立てていきました。

まずはポップアップレストラン。
3週間、週替わりでメニューを変えながら開催しました。告知も直前になることが多く、どれだけ人が来てくれるだろうかと不安でしたが、結果的に10日間で200名以上の人が来てくれて、ディナーはほぼ満席、大盛況でした。
個人的にも毎日一緒にずっと料理をしていたので、新しい技術と学びの多い時間になりとても充実していました。
いくつかメニューをご紹介しますね。
・かぼちゃと神山椎茸のラザニア

・ポルペッタ

・かぼちゃのスフレ

・ビッカフィッコサーディン

菜の花とアンチョビのオレキエッテ

自家製パンチェッタのカルボナーラ

・アップルストゥルーデル

・自家製リコッタチーズ

・鹿のラグーとフレッシュパッパルデッレ

他にもたくさん美味しい料理を学びました。今後、宿で提供していく予定です。

また、市内の自然派ワイン食堂ムルイノさんでも、イタリアンとワインのペアリングのポップアップをやらせてもらいました。当日は満席で開催することができました。とても嬉しかったです。
ここではワインに合わせて高めのコース設定だったので、丁寧に集中して料理を仕上げていきました。(これは足赤エビとリコッタのラビオリ)

足赤エビのビスクを使ったリングイネ。とても濃厚でした。スープの中でパスタを茹でて味を沁み込ませるのがポイントでした。

ムルイノのりょうさん。今回のためにとっておきのワインを開けてもらいました。

ペアリングワインたちはどれもおいしかったです。

楽しい時間でした、ぜひまた再会しましょう。

ポップアップ以外でも、いろいろとここでできる体験をしてもらいました。
たくさんあったので、いくつかピックアップしていきます。

〇城西高校での料理教室
食農教育の授業の一環で話をもらい、彼らが育てている神山小麦を使ったピチとうパスタをつくりました。

〇日本の料理体験
日本に来た理由として、和食に触れるということが大きな要因だったので、多くの日数、いろんな種類の料理をしました。これお寿司をつくり。友人の誕生日パーティーに合わせてにぎり寿司や巻き寿司をたくさんつくりました。

子ども達にも大好評でした

岳人の森の充さんに日本料理を教えてもらう会もよかったです。これは茶わん蒸しをつくっているところ。 
料理を通して意見交流ができるのが楽しいです。

ジェロームとも良き仲になっていました。料理とアートの話をよくしてたみたいです。

子ども達と一緒に料理もできました。

勝浦の大久保さんのところにも見学に行かせてもらいました。フェデはナイフコレクターらしく、とても興味深く話を聞いていました。(説明するための翻訳がとても難しかったです)

西洋と日本の包丁の違いについてたくさん教えてもらいました。いくつかナイフを購入でき満足そうでした。

普段から山歩きが好きなようで、スタッフみんなと一緒に11番札所の藤井寺から12番札所の焼山寺~WEEKまでのお遍路コースを歩きました。
約7時間の良い運動になりました。

3月8日が彼の誕生日だったので、お祝い会もしました。1年前の誕生日はレストランで働いていたそうです。
ほか、神山の多様なコミュニティにも触れてもらいました。ラストのサヨナラパーティもアットホームな場となり思い出深い滞在になったようで、また来るといってました。

宿にとって、今回の長期滞在の受け入れは大きな挑戦でしたが、何とか最後まで全力でやりきることができました。間で数日、大阪や京都にも行ったりしましたが、ほぼ毎日一緒に過ごし、料理は勿論、食やお互いの文化の話をし、彼の滞在をどうしたらより良いものにできるか向き合った期間になりました。
また、フェデを通して、人と知り合ったり関係を深められたりできる瞬間も多く、とても良い経験になりました。石積みから繋がっていったこの素敵な縁を今後もつなげていけたらと思います。今回の滞在でお世話になったみなさん、関わってくれた方々、ありがとうございました。

新しい何かを受け入れることは、小さな個人や組織にとってはとても大きなことで、今の神山もいろんなものを受け入れて変化していった結果、このように可能性のある面白い町になっていると思います。受け入れること、そこに真摯に向き合うこと、共に変化していくこと。宿も僕自身もこれからもいろんなものを受け入れて、可能性のあるものに変化していきたいなと思います。

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