WEEK神山|新しい「いつも」に出逢う

スタッフメンバーで行くお遍路12番ルート

2024/06/10

こんにちは、吉永です。染めもんWEEKが終わり、1週間が過ぎました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!草履に染めもの、料理もそうですが素材がじわじわと形を変えていく過程は見ていてほんとにおもしろいですね。WEEKのフロントののれんも藍と紅花色にリニューアルしているので、お越しの際はぜひご覧になってみてください。

さてさて、染めもんWEEKにもお遍路をコンプリートされた方や、これからお遍路に向かうという方があそびに来てくださったのですが、今回はお遍路歩きのことを振り返りたいと思います。とても間が空いてしまい・・遠い昔のように感じますが、梅が見頃の3月下旬、神先さん、ユイナちゃんと3人でお遍路12番ルート(藤井寺~焼山寺~WEEK間)を歩いてきました。

◇お遍路のきっかけ

きっかけは宮本常一さんの著書『塩の道』『山に生きる人びと』を読んでいたことです。読中には道の成り立ちについて様々なエピソードが登場します。昔は人間より数が多かった獣たちが通ってできた獣道、沿岸部から山間部に塩を運ぶ塩売りの人たちが通ってできた塩の道、カッタイ病(現在でいうハンセン病)の人たちが人目を避けるために不便な道を分け入りできたカッタイ道。道は道でも、山の中に異なる由来の道が行き交うことを知り、道に興味が湧いてきたところでふと、せっかく四国の徳島にいるのだからお遍路を歩いてみたいなと思ったのでした。また、温かくなってきてWEEKにもお遍路のお客さんが増えてきたこともあり、お遍路さんの気持ちを少しでも味わってみたいという気持ちもありました。

翌日、神先さんに休日お遍路してみようと思いますと話したところ、以前から12番ルートを歩いてみようという話が出ていたようで、早速体育会系WEEKが発足し、翌々週にお遍路を決行することになりました。

◇お遍路道中レポ

当日は朝8時前にWEEK集合、ファミマでお昼ご飯を調達して車で藤井寺に向かいました。私は福島にいた頃は先輩達に山登りに連れて行ってもらったり、東京にいた頃は地下鉄を最寄り駅より早めに降りて散歩したりと、歩くことは好きなのですが、徳島に来てからはめっきり車生活になっていました。聞くところによると12番ルートは別名お遍路転がし、お遍路ルートの中でも最難所とのこと。事前情報に若干の不安を抱えつつ、藤井寺からいざスタートです。

海外からのお遍路さんとたくさんすれ違いました。

 

・・案の定、序盤から登り階段の洗礼を受けました。普段お子さんと沢登りをしているという神先さん、徳島マラソンに向けて鋭意練習中だったユイナちゃんは息切れする様子もなく、すいすいと登っていきます。一旦見晴らしの良いポイントまで登り休憩したときには私一人汗だく息切れ(スギ花粉で鼻もぐずぐず。。)で正直帰りたい。と思いました。でも道のりはまだ始まったばかり。

再出発してからは2人の後ろについて、自分の歩くペースを探っていきました。ふと浮かんできたのは糸井重里さんの著書『インターネット的』の文脈。糸井さんが中学生のときに読んだヨガの本に「息を吐きつづけると、出し切ったところで吸う息が自然に入る」というようなことが書いてあって感心したというものでした。これを倣って、息切れで苦しくてもまずは吐き出してみる。深く吐くことで深く吸い込むことができるようになり、呼吸のペースに歩きのペースを合わせていくことで調子を整えることができました。(呼吸に限らず、一旦出し切ってみると入ってくることってありますよね。)また、神先さんとユイナちゃんが歩きながらいい感じの長めの枝を探してくれて、杖替わりにできたのもありがたかったです。特に急な坂道の上り下りでクッション代わりになり、体力を温存するのに役立ちました。

そこからは周りを楽しむ余裕も出てきて、坂が緩やかなところでは苔や木の観察をしたり、石を拾ったり、おやつ休憩で糖分チャージしながら進んでいきました。ところどころユイナちゃんがYAMAPでルートを確認してくれたので、お遍路転がしのポイントや疲れ具合に合わせてどのあたりで休憩するか、ごはんにするかを相談しながら行けたのも良かったです。

行く先々でお地蔵さんや弘法大使が見守ってくれています。

 

歩く、歩く!

 

最初は中盤あたりでごはんにしようかという話をしていたのですが、焼山寺前の坂が一番長くて急ということで、直前でおやつ休憩を入れ、身体が軽いままの状態で最後の難所に挑みました。上り坂を越えて無事焼山寺に到着。焼山寺近くでごはん休憩をしたあとはWEEKまで下り坂を進んでいきます。藤井寺から焼山寺までは山道が続きましたが、焼山寺からWEEKまでは
民家の脇を抜け、鮎喰川沿いを通り、またがらりと変わった景色の中を歩きます。石積みやすだち畑にしいたけ原木、大蓋造(おおぶたづくり、寄棟の屋根のまわりに瓦葺きの庇をつけた民家)の家々、お茶畑など、神山らしい風景も味わいつつ、5~6月頃にはこの辺りは蛍の名所だよ、とか夏の焼山寺では目の前で花火が上がるよ、と他の季節の楽しみも教わりつつ、ラストスパート。

最難所を超えてひと安心。焼山寺に到着です。

 

下りは気持ちのいい見晴らしでした。

 

山の石積みはWEEKそばの石積みよりも四角い石が多かったです。

 

そんなこんなで無事WEEKまで戻ってきました。距離にして約18km、高低差750m、5時間半の道のり。数字だけみるとものすごく長く感じますが、一旦ペースを掴んでからは目の前の一歩一歩を地道に着実に進んでいくと、気づけば目的地に辿り着いていたような感じです。でもやっぱり一人では途中で心折れていたはずで、一緒に歩いてくれるメンバーの存在がありがたかったです。解散後、ユイナちゃんと寝転がったWEEKの縁側は最高でした~。(幸い翌日の筋肉痛は思ったより軽く、業務上支障なしでした)

◇お遍路を終えて

今回、お遍路を歩いていて、色んな人たちとすれ違いました。海外から来られた方やいつもの習慣で歩いているという方。皆それぞれのペースで歩き、休憩する中で出会い、挨拶をしたり、ちょっとしたおしゃべりをしたりして楽しかったです。ときに道中で再会し、道を譲ったり譲られたり、一時並走したり。みなさん何を想い歩くのでしょう。ところどころ暗黙の休憩スポットのようになっている場所では、石が沢山積まれているのを目にしましたが、道を歩く人たちに思いを馳せると、ひとつの道にも一人ひとり、それぞれの思いやこれまでの時間が軌跡になって積み重なっている。道というものがさらに複層的に感じられるようになりました。

そーっと石を重ねます。

 

早いものでWEEKではたらき始めて約5か月が過ぎました。ここでは、日々色んな人たちの出会いと別れの場面を目にします。新しい出会いはもちろんですが、昔インターンやアルバイトをしていた方々やリピーターのお客さんが再訪してくれたり、バイトの高校生が卒業してまた来ますと巣立っていったり。WEEKもお遍路で人が交差するように、そこで同じひと時を過ごした方々と時間が経ってまた合流したときに、ひと息つきながらそれぞれが見てきた景色や自身の変化を交わし合える場所であったらいいなあと思いました。
また、実際に歩いてみて、WEEKまでたどり着いたときのからだの感じも身をもって分かりました。通しで歩きお遍路をしている方は更に足腰の疲れもあるだろうと、できるだけ1階のお部屋にと調整するようにしたり、お遍路ルートの道案内がスムーズにできるようになったりと仕事にも活かせています。個人的にはそのうち11番、13番ルートも歩いてみたいなと思います。

余談ですが、宿の仕事は持久力も大切、ということで、ウソかホントか、今後WEEKの採用の一環で『みんなで12番ルートを歩く』が追加される説があります?!そのあたりもお楽しみに~。

 

 

 

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