WEEK神山|新しい「いつも」に出逢う

【里帰りWEEK】井上陽人の研究レポート

2023/07/21

みなさんお久しぶりです。初代インターンの井上陽人です。
2021年のインターン終了後も、川づくりや生物調査で時々WEEKに顔を出しています。

今回は石積みの生物調査でやってきました。初回調査の3月は設置から約2か月で、移動性の高いアリやカナヘビのみが見られました。今回は、設置から半年経過したということでどんな生き物が棲み処としているか楽しみでした。また、大学院1年の夏ということで就職についても真剣に考える時期となってきました。将来のことを神先さんに相談することが今回の大きな裏目的でもあります。

到着後、最初に5月からWEEKで展示されている水の生物の把握と簡単なメンテナンスを行いました。今年から鮎喰川の断面を表現した大きな水槽やビオトープが展示されており、宿の周りの生態系を一目で確認できるようになっているなと思いました。
そのあと、川へ降り展示用の魚種を増やすためにヨシノボリなどの採集や、WEEKで流行っているナマズの仕掛けを行いました。夜は裏目的を達成するため、神先さんに最近の悩みや将来についての想いを話し、アドバイスや提案をいただきました。就活や進路という言葉を頭から少し消して、今の学生生活やサンショウウオ研究に集中してみようと思います。

翌日は、昨晩の仕掛けの確認に川へ降りました。小さめのギギ(小さなナマズみたいな魚)が掛かっていました。ナマズや稀にウナギも獲れるみたいで、いつか食べてみたいです。

石積みの生物調査は、3月と同様に5分間の目視調査を行いました。計6種の生き物を観察することができ、着々と生物が集まってきている様子がわかりました。中でも、カナヘビの幼体が2匹見つかったことから、石積みを利用して繁殖していることが考えられます。3月と比べて大きく変わったところは石垣の隙間から植物(ヤブガラシ等)が生えてきていました。石積み環境の変化に伴う出現生物種の変化を今後も追っていきたいと思います。
3月

7月

お昼前からは河原の草やヨシを刈り、川の滞りを無くすよう小さな自然再生を行いました。そのあとは生物採集を行いました。イシガメやツチガエルを見つけ、テンションが上がってきた頃、ついに念願の生き物を捕獲することができました。伝説の赤いナマズ「アカザ」です
大型の水槽で展示をしていますので、ぜひこの機会にご覧ください。

次回は、8月末に顔を出す予定です。次は、鮎喰川だけでなく周辺の田んぼや池もフィールドとして観察を行いたいと考えております。今後の調査で独自の神山の生き物マップのようなものが作れると面白そうだなぁと思います。

◇井上陽人の水の生物解説コーナー◇
「海からやってくる!?トゲナシヌマエビ」

何を思ってか、今回は日本海側の川からトゲナシヌマエビを連れてきました。ヌマエビは普段は川に生息してます。しかし、繁殖のときに海水を必要とする種類がいます。そのヌマエビたちのことを「両側回遊型」といいます。両側回遊型のヌマエビは、川で孵化します。この時はまだエビの形はしておらず、プランクトンとして生まれてきます。その後、流されて海水に到着した個体は、脱皮をして成長し、エビの形になります。そしてまた、川の棲み処へと遡上していきます。
エビは分解者として働いています。エビの多い河川では多くの有機物が分解され、水中の栄養が豊富になることが報告されています。この結果、下流の海の魚がよく育ちます。
鮎喰川の両側回遊型の水生生物は主にオオヨシノボリ,モクズガニ,ヒラテテナガエビです。

ぜひ皆さんもお近くの川で海からやってくる生き物を探してみてください!

                7/21 井上陽人

 

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