WEEK神山|新しい「いつも」に出逢う

宿のオープンデータで見る2024年

2025/02/16

みなさん、こんにちは!
10か月ぶりのオープンデータ…ですが、2024年の1年分まとめて記事にしたいと思います。

※オープンデータの取り組みとこれまでの記事についてはこちらをご覧ください。
2023年
【新しい取り組み】宿のオープンデータ1月分
宿のオープンデータ2月分
宿のオープンデータ3月分
宿のオープンデータ4月分 
宿のオープンデータ5月分
宿のオープンデータ6月分とこの半年の統括 
宿のオープンデータ7月分
宿のオープンデータ8月分
宿のオープンデータ9月 分
宿のオープンデータ10月,11月分
宿のオープンデータ12月分とこの1年の総括
2024年
宿のオープンデータ2024年1月,2月

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✦集計項目と内訳
①泊数(1泊/2泊/3泊以上/5泊以上)
②滞在目的(仕事/視察・フィールドワーク/観光・レジャー/イベント)
③年代(60代以上/50代/40代/30代/20代/中高生/小学生/未就学児)
④男女比
⑤1グループの人数
⑥地域(北海道・東北地方/関東地方/中部地方/関西地方/四国地方/九州・沖縄地方/海外)
⑦移動手段(自家用車/レンタカー/公共交通機関/その他・不明)
⑧売上比率(宿泊:飲食)
⑨つながり
⑩宿で出るゴミの量
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2024年の日本国内の旅行需要は、アフターコロナで実施されていた旅行支援が終了したことや、物価高騰などの影響を受け、伸び悩んでいたと言われています。一方でインバウンドについては、円安や欧米圏と比較しての物価安により、需要が回復し前年比で約1.5倍の勢いがあったようです。

WEEKでも宿泊者数で比較すると2023年と2024年では若干の微減がみられるのですが、2024年は食事の提供をともなうイベントを積極的に実施していたことから飲食部門は好調だったことや、10月に料金改定をさせていただいたことなどから、全体の売上では前年を上回っています。
インバウンドの利用は前年の1.25倍と増えていて、小さな宿でも日本全体の旅行動向にほぼ沿った動きが起きるのだということを感じます。

では、➀~⑩の項目を見ていこうと思います。

①泊数

2023年は1泊7割、2泊2割、3泊以上が1割の割合でしたが、わずかに短い宿泊が増え、2024年は1泊が8割近くでした。2023年は団体での連泊ワーケーションや合宿がいくつかあったので、そういった違いが反映されたのかなと思います。

②滞在目的

観光が5割弱、仕事と視察が2割ずつ、イベントが1割です。年間を通しては稼働率の変動と連動しているようにも見え、稼働の高くなる3月、4月、8月ごろはとくに観光利用のお客さんが増えています。

③年代

こちらも前年同様にまんべんなく各年齢層の方に利用していただいています。

④男女比

こちらも通年でほぼ変動なく、5:5くらいの割合です。

⑤1グループの人数

1,2人での利用が4割強、3人以上が5割強でした。2人以上はざっくりとですが、家族や友人、カップルでの利用が3割から多いときで5割、仕事関係も3~5割、視察などのツアー団体が1割くらいでした。また、毎月数件は団体のお客さんの貸し切り滞在があります。貸切利用は企業やグループでの町内視察や研修などがほとんどです。

⑥地域

関東が3割、関西、四国が2割前後、その他の地域は1割未満、海外が1割でした。昨年も同様ですが、アクセスの良い地域からはまんべんなく利用されています。
国内で特に多かった都道府県は、東京/大阪/神奈川/徳島の順で、これは2023年も同様でした。
海外からのお客さんは、2023年はアメリカ/台湾/韓国/シンガポール、その後にヨーロッパ圏が続いていましたが、2024年は韓国/アメリカ/オーストラリア/ヨーロッパ圏の国複数でした。
2024年は、韓国からのお客さんが急増していました。韓国では、ここ数年地方創生の先進事例として神山が知られているようで、その影響なのではないかなと感じます。個人・団体いずれもたくさんの方が視察に来られていた印象があります。
欧米圏からは、前年にはなかった国からのお客さんも多数いらっしゃり、幅広い国から個人旅行でハイキングとしてお遍路を楽しみに来てくださっている印象です。

⑦移動手段

移動手段はやはり自家用車とレンタカーが8割です。特に海外からのお客さんを中心に、お遍路やハイキングでの利用も多く、その他(徒歩・自転車)なども意外に多いです。

⑧売上比率(宿泊:飲食)
宿泊:飲食の売上比率は7:3~9:1で推移しています。
宿主催のイベントが連続していた4月~7月には、常に飲食売上が3割と飲食がとても高かったです。

⑨繋がり

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
リピート率 10% 12% 7% 11% 8% 16% 6% 14% 8% 12% 21% 11% 11%
繋がり 64% 21% 30% 37% 41% 35% 29% 22% 36% 35% 32% 43% 34%
リピート率+繋がり 74% 34% 36% 47% 49% 51% 35% 36% 43% 48% 52% 54% 46%

*リピート率 =3回以上来てくれている人の割合
*繋がり =紹介や関係性のなかで宿を知り、来てくれたお客さんの割合

毎月3割~5割のお客さんが何度も来てくださっている方だったり、ご紹介で来てくださる方だったり。改めてWEEKや町の関係人口の多さを実感する数字です。
いつもお越しいただいているみなさん、宿をご紹介くださている方々いつも本当にありがとうございます。

⑩宿で出るゴミの量(単位は神山の町指定ゴミ袋の数)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
可燃 11 8 9 6 7 7 6 13 6 3 6 5 87
リサイクルプラスチック 4 4 5 5 7 5 5 7 10 3 12 3 70
1 1 0 2 2 1 1 2 0 3 0 0 13
ビン 3 5 2 6 4 4 4 4 0 6 2 0 40
ペットボトル 1 2 2 2 3 2 3 5 0 8 3 0 31

いち事業者として1年でたくさんのゴミが出ているんだなと、数字を積み重ねると実感します。リサイクルプラスチックが意外と多く、普段私たちの生活がプラスチック包装やタッパーなど使い捨てられるプラスチック素材にあふれていることを物語っているように思います。

【まとめ】
2年集計を終えて、データを集計について、感じること、分かってきたことについて書きたいと思います。まず1つ目は、➀~⑩の項目は1年目も2年目もある程度似た数字になっているということです。データが増え、宿全体の利用状況の現状がより正確に数値化できてきていると実感します。
2つ目に、様々な機関から発表されている国内の旅行動向調査の結果などと、私たちが独自でしているデータも似た傾向にあり、神山町というひとつの町のなかにある小さな宿でも、大前提は社会全体の人の流れにしたがって動いているのだろうとも、文字にすると当たり前のようですが、感じました。
これらを踏まえ、宿目線で今の神山を映し出すことができるオープンデータとなっていくよう、今ある中で必要な要素と不要な要素、足りていない要素など見直しをしていくことが必要だろうと思っています。

【神先さんのコメント】
オープンデータは、数字と向き合うことで、俯瞰した視座を持つことと、比較,分析,仮説,検証といったプロセスを経て、宿の仕事を常に更新していくためのものです。世の中の変化、宿自身の変化、お客さんの変化など、そういったものたちとデータと日々の仕事を意識的につなげることで、体感としてつかめてくると、観察や分析など考える習慣が生まれ、変化を敏感に察知できるようになると思います。
※久しぶりだったので自分なりになぜこれをやっているのかを整理してみました…
というわけで、2024年のデータを改めてみてみると、小さな変化がいくつか見られます。1泊利用のお客さんが増えたこと。宿に来る目的として、”観光”が増えたこと。”地域”で東日本より西日本が多くなったこと。繋がりで来てくれる方のも増えました。宿泊者数は微増くらいです。
1項目毎に振り返りたいですが、あまり自分自身のデータに対する解像度が高くなく、総じて思ったことを書きます。
まず感じたのは、宿泊する”宿”としての認知が上がっていること。すごく当たり前ですが、この宿の特徴は宿らしくない曖昧なところなので、どうバランスさせていくのか考えていきたいと思います。口コミで来てくれる方が半分くらいおられるので、はじめて来る方とそうじゃない方とで、何をどう感じてもらえるのがよいのか。やはり、宿としてのサービスの質と幅を拡げていくこと、回数を重ねるごとに関係が深まっていく工夫。そういったものを深めていきたいです。2024年にできたこととしては、月,火曜日の休館日をなくしたこと。夕食を提供できる日数を増やしたこと。ここは確実に数字に反映されています。その他、常にヒアリングしながらできるだけ改善していけたらと思っています。
そして、改めて”繋がり”によりお客さんに多く来ていただいていること。これは神山でさまざまなプロジェクトが動いているのが大きな要因だと思っています。年々様々なプロジェクトが立ち上がり、そこれに伴い関わる人が増えていくのが神山のすごいところで(しかもプロジェクトも進化していく)、そのメインストリームにしっかりとつながり、ついていくことが大切だと思っています。オープンな場をもつ、人と人が混ざり繋がる機会をつくる、情報を取りに行くなど、常に意識しながら動いています。宿としての立ち位置もあまり固定せずに、柔軟にその時出来ることをやっていく。宿の軸を育てながらピボットで動けるように柔らかくいきたいです。
最後に、新しく始めたゴミの記録について。1年目なので、まだ扱いにくいですが、意識のところでは少し変わってきたように感じます。使える瓶容器の再利用、廃紙をメモ用紙に、梱包材を油取りなど2次利用、ペットボトルキャップ、歯ブラシなどの回収、廃棄物関係の記事を読んだり、なにかと変化が出てきています。現実的なところでは、今年の数字を軸に、まずはごみ袋の数を減らすこと、2次利用を増やす、そして、その素材がどこから来てどうなっていくのかを知ることだと思います。地道にやります。
というわけで、まとめてくれたユイナちゃん、お疲れさまでした。オープンデータもより進化していくために、今後は四半期に一度くらいのペースで、支配人の赤石さんも加わり更新していってもらいます。またチェックしてみてくださいね。(神先)

2/16 中野

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